「どっちがヤクザかわからん」の警察官は何者?その正体と大声威圧する理由を元警察官が解説します。

どっちがヤクザか分からんで有名なこの動画。
一般人からすれば、

警察なのにこんな悪そうに見えるのは何で?
と思われるかもしれません。
確かに今見ても警察っぽくは無いですよね。笑
そこで今回は、
「ヤクザみたいな警察は何者なのか」
等の疑問に対して、元警察官が解説します。
彼等は組織犯罪対策部の刑事(マル暴)
ヤクザみたいな警察官の正体は、組織犯罪対策部に所属している刑事さんです!
大阪府警だと、捜査4課という部署になります。
警視庁では、暴力団対策課という名称で、各都道府県警察によって名称は異なります。
ちなみにあの動画は大阪府警の捜査4課の刑事(マル暴)です。
組織犯罪対策部が担当するのは、
・薬物事犯対策
・来日外国人犯罪対策
・暴力団対策
・特殊詐欺対策
の4つです。
動画に出演されている方は、暴力団対策を普段されています。
ヤクザに対して威圧的な態度を取る理由
動画を観て分かる通り、本当にどっちがヤクザか分かりません。
顔もめちゃ怖いですよね。
でもあんな威圧的な態度を取らなくても良いと思いませんか?
実はこれには理由が二つあるんです。
それぞれの理由についてお話しします。
昔からの名残り
警察官自体昔マル暴刑事だった年配警察官に、当時の状況を聞いた事があります。
その方曰く、
「ヤクザに舐められたら仕事が出来ない」
「ガサ入れで事務所入った時、殴られた事がある。」
と、今では考えられない関係性だったようです、
現在は暴対法によって中々暴れる事が出来ないヤクザですが、昔は相手が警察官だろうとお構い無しだったそうです。
そんな中、警察官が覇気の無いナヨナヨした様子だと完全に舐められてしまいます。
だからこそ、ヤクザにも負けないような気迫が必要だったそうです。
その名残が今でもあって、ヤクザを相手にする時には動画のようになってしまうんです。
パフォーマンス
ぶっちゃけ、パフォーマンスの要素はあります。
そもそもですが、ガサ入れの時間と場所をメディアが知っているのもおかしいと思いませんか?
明らかに組織内部の人間が情報を渡していますよね。
という事は、

メディアさん、面白い物が撮れますよ!
と言っているようなものです。
私はヤクザ事務所にガサ入れした事はありませんが、ガサ入れ自体は何度も経験があります。
少なくとも、近隣住民に分かるように大声を出したりしません。
在宅が確認出来ているのに外に出て来ない場合でも、あんな叫びまくる事はありません。
まぁ、相手がヤクザだから何でも良いだろって思っている部分はあると思います。
明らかにパフォーマンスは入っていると私は思います。
マル暴刑事になるルート
正直言うと、私が警察官を志した当初はマル暴の刑事になりたいと思っていました。
なんか裏社会に生きているみたいでカッコよかったので。
なので、私は警察学校在学中に教官からマル暴になる方法を教えてもらい実践していました。
ただ私の場合、途中で希望が変わったので当初の夢を叶える事なく警察人生を終えました。
そこで、ヤクザみたいな刑事のマル暴になるルートについて解説します。
警察学校を卒業する
当然警察官採用試験に合格し、高卒なら10ヶ月間・大卒なら6ヶ月間の警察学校をクリアしなければなりません。

ただ、警察学校を卒業する難易度はそこまで高くありません。
極端に運動や勉強が苦手だったり、集団行動が出来ない人にとっては厳しいかもしれません。
ですが、警察学校での成績が最下位だった奴も未だに警察官として頑張っています。
ニュースやYouTubeの影響で、
「警察学校は地獄の場所」
という噂が流れていますが、実際そんな事全くありません。
そう言える理由について、実体験を踏まえてまとめている記事がありますので、気になる方は読んでみて下さい。
→「警察学校は厳しく無い」と言える理由について
交番勤務をしながら刑事課に顔を出す
警察学校卒業後、既に戦いは始まっています。
最短でマル暴刑事になるには、交番勤務をしながら警察署の刑事課に顔を出していきます。
当直勤務を終えた後なり休日に手伝いをするという事です。
これがめちゃくちゃキツいんです。

グラフの通り、交番勤務は24時間勤務です。
当然事案が長引いたり書類作成が勤務時間内に終わらなければ、24時間では済まないです。
それでも眠い目を擦りながら刑事課に顔を出さなければなりません。
なぜこんなに辛い思いをしなければならないかと言うと、ライバルに勝つ為です。
他にも刑事課員になりたい若手は沢山います。
ですが、引き抜いてもらえる人数には限りがあります。
だからこそ、誰より積極性を刑事課員に見せてアピールをする必要があるんです。
私個人の意見としては、時代に合わないやり方だとは思います。
でも本当になりたいならここで妥協してはダメです。
やりたい事の為に身を削らなければならないのは警察のみならずどの世界での同じですから。
警察署の組織犯罪対策課で勤務
交番時代の努力が実れば、警察署の「組対」に入る事が出来ます。
一応本部勤務でなくてもこの時点でマル暴刑事と言えます。
でもゴールが本部のマル暴であるなら、まだまだ道は長いです。
警察署のマル暴として実績を残すと同時に、昇任試験に合格する必要もあります。
勿論、異動は自身の希望通りいかない事もあります。
刑事希望だったのに交通関係を定年までやっている警察官もいます。
こればかりは運ですが、実績さえ残しておけば大幅に外れた道になる事は殆どありません。
ですので、警察署のマル暴刑事としてバリバリ仕事して認めてもらう以外方法は無いです。
本部のマル暴刑事として勤務
昇任試験も突破し、刑事としても実績を残し常に希望を出した結果初めて本部マル暴刑事として勤務する事が出来ます。
本当に狭き門ですし、じゃあ優秀であれば必ずなれるかと言われればそうでもありません。
警察は組織ですので、幹部から気に入られる必要もあります。
嫌いな奴と一緒に勤務したいと思う人間はいませんから。
簡単な道ではありませんが、志を高く持っていれば叶わない事は無いです。
夢が叶った時、無事ヤクザみたいな警察官になっている筈です。
警察とヤクザどっちが強い?
ここで皆さんが気になるのは、
「警察かヤクザどっちが強い論争」
だと思います。
結論から申し上げると、素手の殴り合いならヤクザの方が強いです。
勿論、柔道特練や逮捕術特練、剣道特練の警察官は別です。
彼等の戦闘能力は半端ないので。
警察学校で柔道や剣道を一応やりますが、喧嘩慣れしているヤクザに通用するとは思えません。
そもそもですが、警察は個々が強くなくても数の暴力で制圧出来ます。
一対一で対峙する状況なんて滅多にありませんし、どんな状況でも数的優位を作って対応します。
だから総合的に判断すると、数で圧倒できる警察の方が強いという事になります。
皆さんが思っているより警察官一人一人の戦闘能力はそこまで高くありません。
→「警察官って強いの?」に関する記事
まとめ
今回の記事では、
・ヤクザみたいな警察の正体
・マル暴へのルート
について解説しました。
説明した通り、マル暴刑事はヤクザに舐められる訳にはいきません。
だからこそあんな強面集団になっていますし、ガサ入れでも大声で威圧するのです。
一方、エンタメ要素は確かにあります。
普段あんなやり方しないですからね。笑
こちらの記事では、【日本の警察官が拳銃を撃たない理由】についても解説しているので、興味がある方は一読下さい。


