警察官やっていると、

お前ら本当に役立たずだな!
と言われる事がちょくちょくあります。
当時はそう言われる度、
俺別にサボっている訳じゃないんだけどな。
と心の中では強く思っていました。
ですが、実際のところ役立たずと言われても仕方ない部分はあるんです。
私から見ても目に余る程働かない警察官もいましたから。
そこで今回の記事では元警察官の立場から、
なぜ警察が「役立たず」と言われてしまうのか、
その理由と現場の実情を正直に書きます。
現場にいたから分かる「誤解の正体」
まずは、国民側が警察に対して勘違いしている部分についてお話ししようと思います。
通報から現場到着までにかかる時間
警察か役立たずと思われている要因の一つが、通報から臨場までに掛かる時間が長い事。
これに関しては実際私も警察官時代に通報者から、
通報者お前どんだけ時間掛かってんねん!
と叱られた経験が多々あります。
そもそも通報から臨場までの所要時間は平均15分と言われています。
でもこの時間はあくまで平均値であって、
・現場周辺に対応可能なパトがいない
・事案が爆発していて対応出来る局がいない
・対応パトが超遠方から向かっている
等、様々な事情がありますから15分以上掛かってしまう事は仕方ありません。
確かに、通報者の立場から考えたら警察側の事情なんて知ったこっちゃ無いかもしれません。
でもこれが現実であり、どうしようも無い事象なんです。
警察は法律の範囲以内でしか行動出来ない
警察官は、刑法・刑事訴訟法・民法・道路交通法といった各法令条例を根拠に公務執行しています。
逆に言えば、これらの法令の範囲を逸脱した行動は違法職務執行になる訳です。
例えば、よくある通報の一つとしてアパート駐車場の無断駐車。
アパート駐車場は主にアパート主か土地を貸し出している人の所有物です。
ですので、そこに無断駐車車両があったとしても、警察としてやれる事と言えば車両番号から所有者を照会して連絡する事だけです。
強制的にレッカー移動する権限は持っていません。
これが公道上であれば、本来駐車する事自体青空駐車に該当し車庫法違反になる訳ですから警察が出来る事も増えます。
このように、警察官だから何でも出来る訳では無く、定められた法律の範囲内でしか動けない事を理解する必要があります。
パトカーや人員には限りがある
皆さんのイメージ的に、警察官ってどんな状況であっても手薄にならない程の人手が確保されていると思っていませんか?
確かにマジで暇な管轄においてはこのような状況はあるかもしれません。
ですが、各警察署で決められた警察官数ってその管内の事件発生数・事故発生数・過去の情報に照らし合わせて合理的と判断された人数なんです。
つまり、丁度良い感じの人数しかいない訳です。
ちなみに私の感覚的に、どこの警察署でも人員不足です。
そんな状況でもたまに発狂する程通報が入ったり逮捕事案が連発する事があるんですけど、こうなってしまうともう現在の勤務員数で対応出来ない事案もあるんです。
そうなった場合は当然非番員や休日員を呼び出す訳ですが。
何が言いたいかと言うと、基本的に警察官の数は足りていないと言う事。
だから、
違反者俺だけじゃ無くて他の奴らも捕まえろよ!
とか言われたってそんな事出来るわけ無いんです。
一方、本当に警察が役に立たない状況もある
上記では、国民側が警察に対して誤解している部分について現場経験者の立場から解説しました。
一方、私から見ても確かに警察に落ち度がある部分も正直あります。
そこで以下では、
・警察が役に立たないと言われてしまう事情
について、詳しく解説します。
面倒事は避けたい本質。
本来なら、全ての警察官が仕事に私情を持ち込まず淡々とやるべき業務を遂行して欲しいところですが、残念ながらそんな優秀な警察官ばかりではありません。
警察官も人間ですから、自分に甘い人もいます。
自分に甘い警察官が楽をしようとする事は明白で、実際現場では楽をしたいが為に本来やるべき事をやらない警察官もいます。
実際よくある例として、交通違反取締りの否認。
通常、一時停止や信号無視等の青切符対象違反は、道路交通法違反ではあるんだけど業務効率化の為に反則通告制度のお陰で青切符処理だけで済んでいるんです。
しかし、否認した場合は反則通行制度対象から除外され刑事事件に移行されます。
これが結構面倒で、やり方さえ覚えちゃえばどーって事無いんですけど、取調べや実況見分調書、捜査報告書作成等、やるべき作業が増えます。
だからそれが面倒な警察官は、
警官じゃあ今回は指導だけで済ましておくね
と見逃してしまうんです。
私個人としては、本来やるべき対応を放棄しているように見えてしまい、
正直、納得できない部分でした。
こんな警察官がいるから、国民から「役立たず」と言われても仕方ないと私は思っています。
面倒な業務は若手に投げやり
この記事を読んでくださっている読者の中にも、部下に業務を投げる上司って心当たりがあると思うんですが、警察にも沢山います。
現場でも動かない、書類も作らない、なのに勤務時間が過ぎたら一目散に帰宅する。
はっきり言って税金泥棒です。
このように働かない警察官は警察用語で「ゴンゾウ」と称され、周りから冷たい視線で見られます。
※組織内で「仕事をしない警察官」を揶揄する俗称です。
中には真面目に働いている警察官もいる
警察組織はゴンゾウばかりではありません。
中には、自分のプライベートを削って家庭を壊してまで仕事に熱中している警察官もいます。
というか、私の知る限り幹部になっている警察官の中でプライベートを削っていない人なんて一人も知りません。
幹部だけで無く、私の同期生や上司の中にも心から尊敬する程仕事に明け暮れている優秀な人材は存在します。
でも彼ら彼女らが光に照らされるよりゴンゾウや不祥事を起こす警察官の方が注目されてしまうので、その光は影に覆われてしまっているのが現状なんです。
警察に「何でも解決してもらえる」と思わない方がいい理由
上記では、
◯国民が警察に対して抱いている勘違い
◯警察が役立たずと言われてしまう原因
について解説しました。
その上で私は、国民側にも警察が出来る事と出来ない事を理解する必要があると思っています。
正直、
俺これ警察案件じゃ無いんだけどな、、、。
と感じるような通報も沢山あります。
そこでこの章では、現実的に考えて警察に出来る事と出来ない事について現場目線で解説します。
警察は便利屋さんじゃ無い
この見出しの通り、警察は便利屋ではありません。
本当に困っている人を助ける為に存在します。
にも関わらず、一定の割合で警察を便利屋さんと勘違いし、別に警察を頼らなくたって解決出来るような問題であっても安易に110番通報する人がいます。
このような本来対応する必要の無い事案を対応すると、緊急性の高い事案への臨場が遅れてしまう可能性があります。
この記事を見てくれている方はそんな事しないと思いますけど、間違っても警察を便利屋さんと勘違いして利用するような事は辞めてください。
民事不介入という原則がある
警察が対応出来る事案は、
・交通事故・交通違反
・刑事事件
・遺失物・拾得物
・行方不明・DV・ストーカー事案
等に限ります。
ですので、金銭問題とか離婚・親権問題、労働問題等の民事事案には介入出来ない事になっています。
勿論民事事案が発端とした刑事事案が発生すれば対応しますが、民事的要素の解決には一切携われないので注意が必要です。(人生経験が豊富な警察官はアドバイスしてくれる事もある。)
証拠がなければ動けない
これは特に刑事事案で多いです。
基本的に事件捜査って客観的証拠(防カメ、目撃情報、指紋足跡等)を手掛かりに犯人特定を進めます。
一方、これらの客観的証拠が一切無く、又は不足している状態であれば犯人特定が出来ない事もあります。
そりゃそうですよね。
犯行状況や犯人の身体着衣が一切分からないのであれば特定に繋がる情報が無いんですから。
にも関わらず、「被害届を出せば犯人は捕まる」「当て逃げ犯は捕まる」と思い込んでいる方が一定数いますが、警察官は証拠も手掛かりも無い状態から何かを生み出せる存在では無いので、そこら辺を履き違えないようにする必要があります。
苦情を入れても解決しないケース
私も現職時代に外国人を職質した際、本人から、
外国人外国人ばかりイジメるな!
と苦情を受けた事があります。
でも当時の状況って、閉店時間を過ぎたパチンコ店駐車場でハイビーム着けたまま駐車している車を発見し、その運転手が外国人だったから職質したのであって、決して人種差別的選択をした訳ではありません。
ですので苦情を申し立てた外国人に対して何も出来ず、不満そうな顔で警察署から出て行きました。
このように、苦情を入れたからと言って警察官側に過失が無いのであれば当然門前払いになります。
一方、違法公務執行をしている場合もありますので、その場合は躊躇なく苦情を入れるべきだと私は思っています。
捜査には時間が掛かる
例えば、詐欺被害を警察に届け出たとします。
この手の事案って、例えば携帯電話を使い回していたり追跡不可な状態になっている場合が多く、実行者を特定するのに時間を要する事が極めて多いです。
また、実行者は特定出来ても指示役や首謀者を特定するのも時間が掛かります。
そして詐欺事案ってマネロン(資金洗浄)されて被害弁済がされない事が殆どですので、犯人が捕まったとしても目的を達成できない事だって多々あるんです。
ですので、間違っても警察が仕事をサボっているのではなく、事案の形態や捜査の難易度、人員によって進捗スピードのコントロールには限界があるんです。
刑事は複数の事件を同時に抱えている
私は警察官を辞める最後の年刑事課員として勤務していました。
だから分かるんですが、刑事課員は皆沢山の手持ち事件を進めています。
ですので、一つの事件だけに注力する事は不可能であり、それが結果として被害者の不満に繋がるんです。
確かに被害者からすれば担当刑事がどれだけ忙しいかなんて関係ありませんからね。
でも現実問題、毎日20時間以上働き続ける事なんてできませんし、長時間労働すれば作業効率が落ちます。
だから、刑事事件(基本事件)は捜査完結するまでに時間が掛かるんです。
元警察官として、国民に伝えたい事
ここまで説明してきた事は嘘偽りなく、私が実際警察官として現場経験してきたからこそ言える事実です。
その上で申し上げますが、
助けて欲しい、困っている
という状況があるなら、迷わず警察を頼ってください。
矛盾しているかもしれませんが、一般の人間にとって何が警察事案か何が役所事案かなんて判断出来ないと思います。
でも大丈夫。
通報時点で通信指令課の人間か警察署の人間が対応可能か否か教えてくれますから。
一番やってはいけないのは、助けて欲しいのに声を上げない事。
これが一番の失敗で、状況にもよりますが勇気を出して通報しなかったが故に大問題に発展する可能性もあります。
例えばDV事案・ストーカー事案。
これらの事案は、初動を間違えると最悪の場合命に関わる事態に発展する恐れがあります。
でも警察に相談する事によって防げる事案でもあります。
このように、警察って根本を辿れば人を助ける為に存在するのであって、国民から敬遠されてしまっては元も子もありません。
このご時世、警察組織に対して不信を抱いている世の中ではありますが、不祥事を起こす警察官が注目されがちですが、それは組織全体から見れば極一部でしかありません。
殆どの警察官は被害者や相談者、助けを求める者の味方であり、その問題を解決する為ならプライベートを犠牲にする覚悟を持っています。
ですので、もしこの先警察の助けが必要な場面に遭遇したら、
「こんなことで通報していいのか」と迷わず、まずは相談してください。

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