パトカーが赤色灯(ランプ)だけ付けているのはどういう意味?【元警察官が解説します】

普段、車を運転している時パトカーが赤色灯(パトランプ)だけ点灯させて走行している姿を目にする事があると思います。

あれは消し忘れとかではなく、ちゃんと意味があるのです。(確かに消し忘れもある笑)

今回の記事では、サイレンを鳴らさずに赤色灯だけを点灯させている意味を解説します。

緊急走行では無い

パトカーや救急車が緊急走行する為には、赤色灯の点灯とサイレンをならさなければなりません。

逆に言うと、赤色灯だけ点灯してサイレンを鳴らしていないのにパトカーが猛スピードで走行していたら、交通違反です。

ですので、前提として赤色灯だけ点灯している状況は緊急走行中では無いので、道を譲る必要はありません。

実際、赤色灯を点灯して走行をしていると、緊急走行中と勘違いした運転手が道を譲ってくれる事がありましたが、逆に他の車両の迷惑になるので、控えてください。

赤色灯だけを点灯するシチュエーション

実は、赤色灯だけを点灯して走行する理由はいくつかあります。

これから、それぞれのシチュエーションをご紹介します。

現場に向かう時

まず一つ目は、通報のあった現場に向かう時です。

現場へ向かう際は赤色灯を点灯しなさいというルールがある訳でありませんが、習慣的にみんな赤色灯を点灯しています。

ただ、確かに現場へ向かう際に赤色灯を付けておく事で二つメリットがあります。

臨場中の交通違反を阻止できる

通報があったら、警察官は緊急であろうとなかろうと早期に臨場する事が求められます。

そんな時に目の前で交通違反をされたら、いくら向かっている最中であろうと無視する事は出来ません。
しかし、赤色灯を付けて走っていれば、自ずと周りの車も気を付けて運転します。
そうすると結果的に、早期の臨場が可能になります。

臨場中の交通事故を阻止できる

これも同じ理由で、臨場中の交通事故を防ぐ事ができます。

通学路警戒

署や時期によっては、登下校時間帯の通学路警戒を行います。

その際、子供達に車が突っ込んでしまう事を防ぐ為に、事故の未然防止の観点から赤色灯を点灯します。

犯罪防止

ある地域で空き巣やわいせつ事案が多発すると、同じ場所で犯行が繰り返される傾向にあります。

警察は犯人を検挙する事が仕事ですが、一番は被害を未然に防ぐ事です。

ですので、頻繁に同一事件が発生している場所では、発生時間帯に赤色灯を点灯させて警戒する事があります。

私が交番時代に、管内で侵入窃盗事案が頻発した時期がありました。

裏話として、侵入窃盗事案が発生すると、交番警察官は実況見分報告書というクソ面倒な書類を作らなければなりません。

あんまり散乱物色されていない現場なら、大体2時間位で作成する事が可能です。

しかし、大胆に荒らされている現場だと、徹夜で作成する羽目になります。

一回、大豪邸が散乱物色に遭い、その実況見分を作成し終えるまでまる二日掛かりました。

そんな背景もあり、窃盗事案が頻発する時期は自分の身の為にも、赤色灯を付けて警戒します。

交通整理中

人身事故や物損事故で路上に車が停止して通行の妨げになっている状況下では、警察官が交通整理をします。

その際に、パトカーを路上に停止させて赤色灯を点灯させます

昼間の時間帯なら、パトカーに気づいてくれる事もありますが、真っ暗な夜だとパトカーが止まっていても平気で突っ込んできます。

その為、事故当事者と警察官を二次被害から守る為、赤色灯を点灯させます。

交通違反車両の追跡

テレビやYouTubeで、交通違反者を現認した警察官が緊急走行で追跡する映像を見た事があると思います。

確かに、交通量の多い場所や停止に応じない違反者を追跡する際は、緊急走行で停止を呼びかけます。
しかし、全ての違反に対して緊急走行する訳ではありません。

見通しが良く、違反者が信号停止していて緊急走行する必要がない時は、赤色灯のみを点灯させて違反者を追跡する事があります。

というか、緊急走行で違反者を追跡する事の方が、実務上少ないです。

消し忘れ

警察官も人間ですので、消し忘れる事もあります。

ちなみに私は一週間に1回は消し忘れていました笑。

まとめ

今回は、サイレンを鳴らさずに赤色灯のみを点灯させてパトカーが走行している状況について、その理由をシチュエーションごとにご紹介しました。

いきなり赤色灯を付けたパトカーが自分の車の後ろを走行していたら怖いと思いますが、殆どは現場臨場中か、防犯活動中ですので、あまり気にしなくて大丈夫です。

ただ、交通違反者を追跡している可能性もあるので、普段から安全運転に心がけていればパトカーなんて無縁の存在ですので、私も含め皆さんも気を付けましょう。

こちらの記事では、私が警察官時代に本当に辛かった現場について赤裸々にご紹介していますので、興味がある方は読んでみてください。

警察官の大変さが分かると思います笑。

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