「鑑識になるにはどうしたらいいの?」という疑問に対して元刑事課員の私が回答します。

私の同期生にも少数派でしたが、鑑識希望は数人いました。

確かに、警察の中でも専門的な技術が必要になるので、職人的な部分があります。

その職人的な部分に憧れる人は少なくありません。

ただ、希望すれば誰でもなれる訳ではありません。

検定も取らなければならないし、内勤ですのでスカウトされる必要があります。

そこで今回は、「鑑識になるにはどうしたらいいの?」という疑問に対して元刑事課員の私が解説します。

目次

鑑識員になる為に必要な事

私自身は鑑識員の経験はありませんでしたが、同期生が私と同じタイミングで刑事課に入り、鑑識係に配属されました。

ですので、その同期生が鑑識係に入る為に行った事を紹介します。

警察官採用試験に受かる

これは大前提ですが、鑑識員も警察官ですので、警察官採用試験に合格しなければなりません

合格したら周りの同期生と一緒に警察学校生活を送り、卒業します。

よく鑑識希望の人が、

鑑識は警察学校に入らなくてもいいですか?

と勘違いしていますので、ご注意下さい。

ちなみに鑑識に入った私の同期生は、別に成績が良かった訳ではありません

ですので、学校時代の成績なんて何の意味もありません。

交番勤務でクソ頑張る

警察学校を卒業したらどこかの交番に配属されます。

そして、もし本気で鑑識係に入りたいんだったら、この最初の交番時代が大事です。

私の同期生がやった事は、

・非番休日に積極的に鑑識係の手伝いをする。
・管内で発生した窃盗事件の鑑識活動をめちゃやる。
・刑事事案以外も人並み以上にこなす。
・鑑識係員と仲良くなる。


の四つです。

その結果、警察学校を卒業して僅か2年で鑑識係に入る事が出来ました。

それぞれ詳しく解説します。

非番休日に積極的に鑑識係の手伝いをする。

鑑識に限らず、内勤に入りたいと思ったら誰でもやっているのがこの「手伝い」。

交番は、3交代勤務と言って、下の画像のような勤務体制を送っています。


見てもらえば分かりますが、3日間の内非番と休日はプライベートの時間になる訳です。

普通、この非番と休日は勤務中の疲れを癒す為に仕事せず休みます。

しかし、内勤に入りたいと思ったら他の人が休んでいる中、自分も休もうなんて考えてはいけません。

何故かと言うと、入りたい課に非番休日で顔を出さなければいけないからです。

具体的には、プライベートの時間を利用して希望する課に赴いて仕事を手伝うのです。

これが本当に辛いです。

例えば、当直が結構忙しかったりすると仮眠時間で十分な睡眠を取れないなんて事はザラです。

疲労困憊の状況の中、手伝いに行くと気絶しそうになります。

そんな中でも足手纏いになる訳には行かないですし、本来手伝いに行く理由は、

私が入ったらこんなにも頑張ります。

と見せつける為です。

ですので、例え眠かろうが辛かろうが平然とした態度で挑まなければならないのです。

とは言っても私自身、この手伝い制度については否定的な考えを持っています

何故かと言うと、時間外手当は支給されないし、そもそもプライベートの時間は仕事をするべきでは無いと考えているからです。

恐らくですけど、自分が入りたい部署に入る為プライベートを犠牲にしてまで働いているのは警察だけだと思います。

しかし、内勤に入りたいと思っている以上この伝統行事をやらざるを得ないですし、熾烈なライバル争いに勝たなければなりません。

勝つ為には人より努力する必要があるので、自ずと手伝いに行かなければなりません。

私も刑事に入る為に嫌々ながら誰よりも手伝いに行きました

ですので、本当に鑑識係に入りたいと思ったら、他のライバルに負けないようにプライベートの時間を犠牲にしなければいけません。

当直中の鑑識活動で結果を残す。

交番警察官も、鑑識活動を行います。

例えば、
・空き巣
・万引き
・車両盗難
・器物損壊
・相談事案

です。

これらの事案は交番警察官が通報に基づいて一番最初に臨場する事が殆どです。

現場では被害届の受理と同時に鑑識活動も行います。

その鑑識活動が犯人特定の手掛かりとなった場合、必ず表彰されます。

連続窃盗事件被疑者の特定に繋がると、場合によっては賞与さえ貰える事が出来ます。

結果、鑑識係員の目に留まって、

こいつうちで使えそうだな

と思ってもらえます。

現実的な話をすると、そこまで鑑識活動を積極的に行う交番警察官はそんなにいません。

沢山取った所で犯人特定に繋がる事なんて滅多にありませんし、時間も掛かります。

そんな中、他の人より圧倒的に鑑識活動を行うだけでも、名前は覚えてもらえます。

交番警察官の仕事は全てポイ活です。

鑑識活動に関してもやればやる程ポイントが付与され、結果鑑識係員に注目されますので、鑑識員になりたいんだったら誰よりも鑑識活動を行なってください。

刑事事案以外も人並み以上の成績を残す。

内勤に入りたい新人警察官がよくやりがちなのが、自分の希望する課の仕事だけ極端に頑張る事です。

そのせいで他の業務が疎かになっていたら意味がありません。

内勤の人はそういう所を見ています。

こいつは得意な仕事だけしかやらない
嫌な業務はやりたがらない

と思われてしまいます。

例えば、刑事課員になりたい人が二人いたとします。

Aさんは、刑事事案の検挙件数は高いのに、切符等の他の業務は平均以下。

Bさんは、全て平均以上の結果を出しているけど、Aさんより刑事事案の検挙件数は少ない。

この場合、間違いなくBさんの方がスカウトされる可能性は高いです。

ですので、当たり前の事を当たり前にやった上で希望する課の業務更に伸ばしていく事が求められるのです。

鑑識係員と仲良くなる

これに関しては、手伝いにいく事と似通っている部分がありますが、実際マジで大事です。

人間関係を上手くこなせる人はどこ行っても重宝されます。

私が思うに、仕事が出来る人は人間関係も上手です。

新人警察官をスカウトする内勤警察官の立場になってみると分かりやすいです。

やる気はめちゃくちゃあるけどコミュ力は低いし、気配りが出来ない奴と仕事をしたいと思う筈がありません。

反対に、話も盛り上がるしめっちゃ気を遣ってくれる子の方が一緒に仕事をしたいと思うのは当然です。

私の同期生も、手伝いに行っている段階で既に鑑識係員と飲みに誘われる程仲良くなっていました。

ここまでくると、ほぼスカウト確定です。

話は脱線しますが、人と仲良くなる力って警察のみならず他の業種に行った時もめちゃくちゃ使えます。

自分で言うのもなんですが、私はコミュ力化け物です。

そのおかげで警察時代は刑事課員に好かれてすんなり入れましたし、他の課の警察官とも良好な関係を結んでいたので仕事がしやすかったです。

現在私農家やっているのですが、農家って人付き合いが大切な職業です。

ここでも、私のコミュ力が発揮されて沢山の人が私を助けてくれています。

なので、人と仲良くする能力は身につけておいて損はありません

鑑識はキツい事を自覚しているのか

私は、「鑑識になりたい」と思っている人の大半は仕事内容をちゃんと理解していないと思っています。

はっきり言って鑑識はめちゃくちゃキツい仕事です。

報道される映像で見ると、指紋や足跡を取っているだけの楽な仕事だとう印象を持たれるかもしれないですが、実際やらなければいけない仕事はクソ多いです。

楽そうだから」という理由で鑑識を目指すなら辞めた方が良いです。

その理由を詳しく解説します。

そもそも鑑識は刑事部に属している

鑑識は、れっきとした刑事課員です。

ですので、刑事事案が発生すれば当然臨場して鑑識活動を行わなければなりません。

窃盗事案のみならず、
・暴行事案
・傷害事案
・猥褻事案
・検視
・相談事案
等、他にも鑑識係の臨場が必要な場面は沢山あります。

しかも、強行犯係や盗犯係のように人員が沢山いる訳ではありません。

少数精鋭です。

なので、一人一人の負担率はかなり多いです。

また、鑑識係だから鑑識の事だけやればいい訳でもありません。

事案が立て込んでいたら、勿論調書を取る事もあります。

暴れる被疑者を取り押さえる状況だって少なくありません。

仮眠時間なんて寝れる事の方が少ない位です。

その点を理解出来ていない人が多いのでは無いかなと思います。

死体を取り扱う事が多い

検視等の死体を取り扱う現場でも、鑑識係員は必ず臨場します。

しかも、現場保存の観点から鑑識係員は他の警察官よりも先に屋内の撮影を行なった上、死亡状況の撮影も行います。

その死体がどれだけ腐敗していようが関係ありません。

・腐乱死体
・焼死体
・水死体
・電車事故にあった死体
・司法解剖


等、取り扱う死体は様々です。

同じ警察官から見ても、鑑識係の人は本当にグロ耐性が無いとやってられない仕事だと思います。

にも関わらず、目に入ってくる情報だけで鑑識係を希望している人が多すぎます。

綺麗な仕事だけやっていれば金が貰える訳ありません。

やりたくない仕事だって責任を持ってやらなければなりません。

少数精鋭部隊

先ほども少し触れましたが、鑑識係は刑事課の中でも人員が少なめに設定されています。

なので、業務の負担が大きい事は勿論ですが、一番キツいのは人間関係です。

上司がいい人ばかりだったら一番幸せなのですが、そうでは無い場合が多いです。

一人はヤバい上司が必ずと言っていいほどいます。

そんな中でも若手警察官はどんな理不尽な事があっても耐えなければなりません。

私の後輩にも鑑識係では無いのですが、

上司と気が合わない。
こんな事になる位なら辞める。

と言って、そこまで劣悪な職場環境じゃ無かったにも関わらず内勤から降りた女の子がいました。

私から言わせてもらえば、

仕事を舐めんじゃねえよ。

です。

仕事で人間関係は大切です。

でも、結局は課せられた業務を遂行する、又はそれ以上の働きをするのが本来の目的です。

この先の警察人生で自分と合わない上司が出現する度にリタイアしていたら仕事になりません。

ですので、人間関係によってメンタルが崩壊する位ならそもそも鑑識係を希望すべきではありません。

どんな事があってもやりたいと思える人だけ鑑識係を目指してください。

敢えて私は現実を伝えます。

かと言って、クソ上司を擁護した訳ではありません。

一生懸命仕事を覚えようとしている部下を、相手の気持ちを考えずに罵倒したり理不尽にキレたりする上司に対しては配慮なんてすべきでは無いとさえ思っています。

それ位の気合いがなきゃこの組織では生きていけません。

まとめ

今回は、鑑識係に入る方法を解説しました。

私が紹介した事を完璧に実行すれば、恐らく入る事は出来ると思います。

しかし、問題は入った後です。

私から見ても鑑識係はめちゃくちゃしんどいです。

人数は少ないから人間関係大変そうだし、仕事の負担率も大きいです。

休日出勤している姿を見ることも少なくありません。

実際、鑑識係員になった私の同期生も毎日辛そうでした。

でも、本当にやりたかった仕事だからこそ、キツくたってやりがいを持って続けられているのです。

やりたくない仕事をやる程無駄なことはありません。

この記事を読んでも尚「それでも鑑識をやりたい」と思う方は、その時点で向いています。

目標達成のために頑張ってください。

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この記事を書いた人

元警察官。警察組織の内情や、
理不尽な労働環境で消耗しないための考え方を発信しています。

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