警察官時代に死を感じた瞬間【元警察官が実体験を語ります】

早いもので、私が警察を辞めて約7年が経過しました。
現在私は農家ですので、警察官自体のように自身の身に危険が及ぶ状況は少なくなりました。
7年も警察やってりゃ危険な目に遭う警察官もいると思います。
実際、私も今でも忘れられない位死にそうな経験をしました。
それは、警察官という職業をしていたからこそ経験した事です。
そこで今回は、私が警察官時代に経験した死を感じた現場についてお話しします。
身に危険を感じた現場
真夜中に交通整理を無視する恐怖の大型トラック

これは、深夜0時位に国道上で乗用車が路上停止した現場に臨場した時の出来事です。
在署中、通信司令室から、
「国道上で故障による路上停止車両発生」
「現場に向かわれたい」
との無線指令を受けた私は、相勤者と共に現場へ臨場しました。
現場に着くと、国道の第一通行帯で乗用車が停止しており、状況を伺ったところ、
「いきなりエンジンが切れて止まってしまいました」
と説明。
ガソリン切れでもバッテリー切れでも無かったので、仕方なくレッカー業者に依頼しました。
レッカーが到着するまで私達は停止車両後方にパトカーを停めて交通整理を行うことにしました。
この時間帯にしては交通量の多い場所でしたが、応援を呼ぶ事なく私たちだけで交通整理を行う判断をしました。
この判断が間違っていました。
当時の交通整理状況は、パトカーの後方に光るコーンを並べて第一通行帯から第二通行帯へ流す方法をとっており、私達はパトカーの真後ろで誘導棒を振っていました。
こちらに向かってくる大型トラック
そんなこんなで交通整理していたところ、一台の大型トラックがこちらに向かって走ってきました。
その時私は、
「交通整理に気づいて右車線に進路変更してくれるだろ」
と思っていました。
今まで交通整理をしていたらそれに従ってくれていたので、慢心していました。
しかしこの日は違いました。
大型トラックは速度を緩めず、進路変更もしませんでした。
そのまま設置していたコーンも踏み潰しながら、私とトラックの距離が30メートル位になった時、
「あ、ここで死ぬかも。」
と本気で思いました。
その瞬間に私は路肩に身を投げ出したところ、やっと大型トラックも右車線に進路変更しました。
あの時は本当に間一髪でした。
もし、あのまま車線変更しなかったら私だけでなく、相勤者と停止車両の運転手も間違い無く死んでました。
突進してきたトラック運転手の言い訳
進路変更した後トラックは停止車両の前に停止しました。
そりゃコーンを次々踏み倒して行ったので。
そして、私はトラック運転手に詰め寄り、

どこみて走っとんじゃゴラ!!
と業務を忘れて怒りをぶつけました。
するとその運転手は、
「長時間運転で眠くて、、、」
と弁明をしました。
仕事が大変なのは分かりますが、こちらからしたら知ったこっちゃないです。
ただ、言い合っても仕方無いので、コーンを破壊した物損事故として処理しました。
統合失調症患者搬送中大暴れ

私が相勤者とネズミ取りをしている最中、通信司令室から
「○市○町地内において、男性が暴れているとの通報を受理」
「至急現場へ向かへ」
との指令を受け、緊急走行で現場へ向かいました。
統合失調症の男性が大暴れ
現場は住宅街の一軒家で、中に入るとリビングで男性が食器や家具を投げまくってぐちゃぐちゃな状況でした。
通報者はその男性の母親で状況を聞いたところ、
「精神的に不安定になって急に暴れ出しました」
「抑えられなくて通報しました」
と説明。
その時点で暴れている男性は精神障害を患っており、自分を傷つけ他人に怪我をさせる恐れのある人物であると特定し、保護する事にしました。
そして私と相勤者と二人で暴れている男性を制圧し、一旦パトカーの中に入れました。
パトカーに入れた途端、さっきまで暴れていたのが嘘かのように大人しくなりました。
これは統合失調症患者によく見られる症状で、感情の起伏が激しいです。
通院先の精神病院へ搬送することに
署の生活安全課員と協議した結果、男性の通院先の精神病院へ搬送し入院させる方針になりました。
よって、私がパトカーを運転し、応援に来た警察官達でその男性を後部座席で挟む形で搬送することにしました。
発進してから数分は大人しく座っており、警察官とも落ち着いて会話をしていました。
しかし、段々その男性が大声で警察官に怒鳴り始めました。
その時私は、
「頼むから暴れないでくれよ」
と願うばかりです。
案の定、車内で大暴れ
私の願いも虚しく、男性は急に暴れ始めました。
そして後部座席から運転中の私の肩を掴み、
「今すぐ降ろせ!!」と言いながら上下に揺らしやがりました。
そのせいでハンドル操作が間々ならず、パトカーは蛇行運転を始めました。
懸命にハンドルを握っていたところ、私がセンターラインを割ってしまい、その瞬間に対向車と正面衝突ギリギリでした。
間一髪でそれを避け、路肩に停止することが出来ました。
保護具で拘束し搬送することに
このままでは、危なすぎて病院まで辿り着けないと思い、保護具を持ってきてもらうよう依頼しました。
保護具とは、暴れている人物の手足を拘束し、動けなくする拘束具です。
恐らく、殆どの警察官は保護具なんて使う経験がないと思います。
そして、応援に来た警察官が持ってきた保護具を装着し、無事搬送できました。
逃走する違反者を追跡する際に

私が相勤者とパトカーでネズミ取りしていたところ、黒塗りハイエースの一時停止無視を現認しました。
その瞬間にパトカーを急加速させ、

ハイエースの運転手さん止まって下さい
と停止を呼びかけました。
しかし、一向に止まる気配が無いどころか、スピードを上げて逃走を始めました。
私の経験上、逃走するという事は
・無免許
・飲酒
・免停直前
のいずれかに該当しているからです。
逃すまいと、私も緊急走行でハイエースを追いかけました。
赤信号無視
パトカーから逃走したハイエースは、信号無視をして交差点をぶっちぎっていきました。
この時点で、一時停止+信号無視ですので、
点数:4点
反則金:一万六千円
です。
こんなくそ野郎絶対逃さないと思い、サイレンを鳴らしながら、

緊急車両通りまーす
とマイクを流し交差点に侵入しました。
右から軽自動車が突進
緊急車両が通る時は、路肩に寄せて停止することが全ての運転手に義務付けられています。
しかし、私が交差点に侵入したところ、右から一台のトラックがサイレンを無視して突っ込んできたのです。
運転手側でしたので、当たったら私は即死でした。
しかし、私が急ブレーキを踏んだところ、トラックもハンドルを右に切って本当にスレスレで衝突を回避できました。
この時は心臓が破裂しそうで、ハイエースの事なんかどうでも良くなっていました。
とにかく、生きている事に感謝しました。
まとめ
以上の通り、警察官をやってると誰でも命の危険を感じる瞬間があると思います。
私はその瞬間が異常に多い方だと思います。
しかし、実際交番襲撃事件で警察官が亡くなったり、交通整理中の警察官が轢かれて亡くなる事故も発生しています。
私は、交番襲撃事件は今後増えると思っています。
感化されて同様事案を企てる人間が必ずいるからです。
だからこそ、警察官を志す人はいつ自分が死んでもおかしくないと覚悟することが必要だと思います。
そして私は今、自分の命があることに感謝しています。


