刑事になるにはどうすれば?【元刑事課員が解説します】

警察官の中で一番人気の課が刑事課です。
私の同期生の殆どが刑事課志望でした。
しかし、実際なれたのは一部で、殆どは希望していない課で働くことになります。
それくらい倍率が高いです。
そんな中でも、私は1年間だけですが刑事課員として勤務しました。
私がやっていたのは覚醒剤や大麻を主に取り締まる係で、元々この係で勤務したいと思っていましたので、一応希望が叶った形になります。
そこで今回は、刑事になる為には何をすれば良いのか元刑事課員が解説します。
前提として、こんな人は刑事に向いていない
刑事課員になる為にどうすればいいかを説明する前に、そもそも刑事に向いていない人の特徴を解説します。
定時で退勤したい人
これは刑事というよりも警察全体に言える事ですが、定時に退勤したいと思っている人は向いていません。
刑事課はそれが顕著です。
公務員の正規の勤務時間は8時30分から17時15分までです。
「これだけしか働かなくていいなら楽じゃん」と能天気な考えを持つ方はそもそも警察官自体ならない方が良いです。
はっきり申し上げますが、17時15分に退勤できる事なんて滅多にありません。
刑事課なら尚更です。
なんなら、刑事課になりたての頃なんて上司よりも1時間位早く出勤して掃除やコーヒーの準備をしなければなりません。
その上、仕事が溜まっていない状況なんてほぼほぼありません。
一つの事件を終結させたとしても、まだ未処理事件が何個もある状況ですので、時間外勤務をしないと更に仕事が溜まってノイローゼになります。
実際、全然仕事が出来ない人が刑事課にいましたが、仕事が溜まりすぎて処理する事が出来ず、鬱になってしまった事がありました。
私が勤務していた課の係長でさえ、毎日夜8時位までは署にいました。
ですので、プライベートを充実させたいから時間外勤務をしたくないという考えを持っている方は、諦めてください。
というかそんな人刑事課に入れません。笑
気配りが出来ない人
自分の事で精一杯で周りが見えず、気配りが出来ない人は刑事に向いていません。
警察組織では気配りが重要視されます。
具体的に言うと、仕事がスムーズに進む為にあらかじめ必要な作業をやっておくとか、上司が何をしようとしているのか瞬時に見極めて、率先して自分がやる等です。
恐らくですけど、ガチガチの体育会系を学生時代に経験していた人はこういうの得意です。
というのも、スポーツの強豪校ではこの気配りする力が無いと先輩から潰されるので、自ずと磨き上げられます。
悪い言い方をすれば上司の機嫌取りが上手い人っていう事です。
でも、結果的に気配りが出来ると仕事が円滑に進む事は事実ですし、何より上司からの信頼が得られます。
刑事課で生きていく為に上司との良好な関係は必須です。
毎日戦争のような空気感で仕事をしている中、全く気配りや仕事が出来ない奴はその内仕事を任されないようになっていきます。
ですので、気配りが出来ない人は刑事に向いていませんし、なれたとしても続きません。
自分に甘い人
自分に甘い人は、警察官にはなれるかもしれないけど刑事には向いていません。
刑事って本当にやったらやっただけ力が身につきます。
そして、自分に厳しく出来るかどうかを上司や幹部は必ず見ています。
そんな中で、これまでの人生で常に妥協して楽な方へ流れていた人が急に自分に厳しくする事は、無理ではないですけどかなり難しいです。
要は、逃げ癖が付いてしまっているのです。
例えば、めちゃくちゃ忙しくてヘトヘトになっている状況でも事件が発生すれば仕事を切り上げて現場に行かなければなりません。
そして、いかなる状況でも現場で100%の仕事をする必要があります。
「今日は辛いからサボろう」
なんて考えを持っていたら、助けを求めている被害者に失礼です。
刑事たるもの、辛いとか辛く無いとか関係無く、被害者の為に全力で仕事をしなければならないので、自分に甘い人は向いていません。
その上で、刑事になる為にやるべき事
前提として上記の三つはクリアしている上で、刑事になる為にやらなければならない事を、自身の経験を元に解説します。
ちなみに、警察学校卒業した後警察署に配属されてから何をすれば良いのかお話しします。
非番・休日で刑事課の手伝い
これに関しては私は否定的な意見ですが、刑事になる為には非番・休日で手伝いに行く事は必須です。
なぜこれをやらなければならないかと言うと、結局自分の顔を覚えて貰わないと話にならないからです。
また、自分以外にも刑事になりたいライバルは沢山いる訳で、その熾烈な競争から勝ち抜く為には誰よりも行動する必要があるのです。
その一つが、刑事課に顔を出して業務を手伝わせて貰う事です。
業界用語で「手伝い」と偉そうな言葉が使われていますが、要は「仕事を覚えさせて貰う」という事です。
刑事課の幹部からしても、毎日のように顔を出してくる子は是非うちで働いてもらいたいと思いますし、何より顔を出す事でやる気をアピールする事が出来ます。
だからこそ、眠たくても遊びたくても我慢して手伝いに行く事が必要なのです。
荒れた現場に自ら飛び込む
荒れた現場とは、例えば大人数の喧嘩だったり泥酔者が暴れている現場の事です。
こういうはっきり言って面倒な現場で輝ける人は刑事課員から評価されます。
警察官の中にも気が弱い人だったり、仕事をしたく無いから他人に任せるような人もいます。
でもそんな人に刑事が務まる訳がありません。
逆にそういった誰もやりたがらない仕事を率先する姿を求められるのが刑事です。
ですので、管内で荒れた現場が発生した際は誰よりも早く臨場して制圧しなければならない状況なら体を張って制圧し、逮捕することになれば自ら手錠を掛けるといった積極性が必要です。
こういった積極性をもった仕事の積み重ねによって、
「あいつならうちでも積極的な仕事をやってくれる」
と認めてもらえます。
勿論、私はこういった荒れた現場が発生した時は誰よりも一番に現着することを目標にしていましたし、誰もやりたがらない捜査資料の作成や逮捕を積極的行ってきました。
そもそも、私自身制圧するのが得意でしたし荒れた現場自体刺激的なので楽しかったです。
全ての業務で好成績を叩き出す
「刑事になりたなら刑事事案だけ特化すれば良いでしょ?」
と思われるかもそうではありません。
全ての業務で好成績を取っている必要があるのです。
その理由は、面倒な仕事から逃げる奴という印象を持たれるからです。
「俺は職質が得意だから切符はやらない」という訳にはいきません。
そういう部分を刑事にスカウトする人は見ています。
得意な業務であろうが苦手な業務であろうが、一生懸命努力する人間が刑事に求められるのです。
まとめ
今回は、「刑事になる為にやるべき事」について自信の経験を元に解説しました。
私から言える事は、本気で刑事になりたいんだったらプライベートの時間を捨てる覚悟が必要です。
先ほど説明した通り、非番休日でも顔を出さなければライバルとの競争に勝てないですし、当直勤務中も積極的に刑事事案に関わるとその分作成しなければならない捜査資料の増えるので、定時に上がれない事もあります。
ただ、私個人的な意見としては、このやり方は古すぎます。
恐らく非番休日の顔出しとかは昔から続いている悪き風習なんだと思いますが、はっきり言ってやる必要がないです。
やるべき業務を終えた後にサービス残業をする訳ですからね。
わざわざこちらから顔を出すんじゃなくて、成績や現場での姿勢を刑事課員が判断すべきだと思います。
警察もまだまだ古臭い部分があるので、そろそろ変わるべきだと思います。