警察官はストレスの多い職業です――元警察官が語る「本当にきつかった理由」

警察官という仕事は、
世間からは「大変そう」「ストレスが多そう」と
漠然とイメージされがちです。

実際、業務量の多さや、
市民対応による精神的な負担など、
外部的なストレス要因が多い仕事であることは事実です。

ただ、私が7年間警察官として働く中で感じたのは、
本当に人を追い込むのは、
そうした外部要因だけではないということでした。

警察組織の内側にある構造や体質が、
逃げ場を失わせ、
結果として大きなストレスになっていく。

この記事では、
元警察官の立場から、
警察官がストレスを抱えやすい理由を、
外部要因と内部構造の両面から整理していきます。

これから警察官を目指す人、
そして今、警察官として悩んでいる人にとって、
判断材料の一つになれば幸いです。

目次

警察官がストレスを感じやすい外部的要因

警察官という仕事は、
精神論や根性論で語られることが多い一方で、
実際には 外部環境そのものが強い負荷になる職業 です。

業務量の多さや人手不足、
市民対応による精神的な消耗など、
個人の努力だけではどうにもならない要因が、
日常的に重なります。

まずは、
警察官がストレスを感じやすい
代表的な 外部的要因 について、
私の経験をもとに整理していきます。

一般人からの罵声・苦情

警察官の仕事は、
感謝されることよりも、
批判や罵声を浴びる場面の方が圧倒的に多い仕事です。

例えば職務質問。
治安維持のために行われる業務ですが、
声を掛けられる側からすれば、
何もしていないのに呼び止められたと感じられることも少なくありません。

私の感覚では、
100人に声を掛ければ、
そのうち95人ほどは反抗的な態度を示します。

「それ任意なの?」
「お前ら暇でいいよな。」

一度や二度であれば、
そこまで気になりません。
ですが、こうしたやり取りが
毎日のように続くと、
ボディブローのように
確実にストレスが蓄積していきます。

業務量の多さ

客観的に見れば警察組織は人手が充実しているから業務量もそこまで多く無いと思われがちですが、実際そんな事ありません。

アホみたいに多いです。

特に内勤に入ったらプライベートもほぼ無いレベルです。

勿論事案数の少ない場所に配属されたら多少楽かもしれないですけど、事案数が少なければそれだけ人員も削られるので結果として忙しい事に変わりありません。

私の例ですと、特に刑事課時代が半端ありませんでした。

基本的にいつも手持ち事件を複数件進行中でしたし、それと並行して地域警察官が作成してきたクソみたいな捜査書類の訂正も行わなければなりません。

加えて事件なんて勤務時間中だけではなく勤務外の深夜でも発生する訳で、若手警察官だった私は優先的に呼び出しを喰らうんです。

その為、慢性的なストレスで悩まされていました。

警察官を一番追い込むのは組織内部のストレス

先ほどは、
外部的要因による警察官のストレスについて
具体的に見てきました。

確かに、
業務量の多さや市民対応など、
外部環境による負荷は確実に存在します。

ただ、私自身の経験から言うと、
警察官として本当にきつかったのは、
そうした外部要因よりも
組織の内側にあるストレスでした。

ここからは、
警察組織の中にある
内的要因によるストレスについて
お話しします。

※ 警察を辞めるか悩んでいた当時の話は、こちらの記事で詳しく書いています。

下剋上が許されない警察体質

警察組織には、
細かい部分ではネチネチしている一方で、
別の場面では強い体育会系気質が残っています。

その象徴が、
下の立場から上に意見することが
事実上許されない空気
です。

過去には、
警察幹部による不適切な判断や
不祥事の隠蔽が問題になった事案もありました。
外から見れば
「なぜ、あの段階で止められなかったのか」
と感じるケースです。

ですが、組織の内側にいると、
その答えは単純です。

上の判断に、下から異を唱えられない。
ただそれだけです。

県警のトップや幹部が
ある方針を示せば、
現場はそれに従うしかありません。
たとえ違和感があっても、
反論すること自体が
リスクになる空気があります。

こうした体質がある限り、
警察組織から不祥事は無くなりません。

私自身も、
口に出すことはできませんでしたが、
どう考えても意味のない業務命令に対し、
疑問を抱えたまま
盲目的に遂行していた
警察職員の一人でした

上司ガチャ・パワハラ体質

警察組織では、
どの上司に当たるかによって、
働きやすさが大きく左右されます。

いわゆる「上司ガチャ」です。

例えば交番勤務。
業務内容自体は比較的シンプルですが、
相勤者(ペア)となる上司が
パワハラ体質だった場合、
それだけで職場環境は一変します。

私自身は、
交番時代は比較的恵まれていました。
しかし、同じ所属の同期の中には、
上司との関係に強く悩まされていた者もいます。

その同期は、
もともと明るく、周囲ともよく交流するタイプでした。
ですが、パワハラ気質の上司と勤務するようになってから、
徐々に表情が硬くなり、
私生活でも人との関わりを避けるようになっていきました。

最終的に彼は、
上司からのパワハラを上司の上司に相談し、
結果としてその上司は
処分を受け、異動となりました。

また、こうした問題は
交番勤務に限った話ではありません。
内勤に入ると、
新人には指導役となる上司が付きますが、
そこでも同様に「上司ガチャ」が発生します。

実際、私の同期の中には、
内勤配属後に上司との関係に悩み、
心身を崩して警察を辞めた者もいます。

異動は家庭を簡単に壊す

警察官の家庭環境に
最も大きな影響を与える要因は、
異動だと私は感じています。

警察組織では、
おおよそ3年に一度のペースで
異動が行われます。
理由はいくつかありますが、
表向きには
「市民との癒着を防ぐため」
と説明されることが多い制度です。

しかし、この異動は、
家庭生活に大きな負担を与えます。

実際、新婚の警察官が
春の異動で、
自宅から極端に離れた警察署や
駐在所に配属されることも
決して珍しくありません。

家を建てた場合など、
一定の配慮がされるケースもありますが、
すべての警察官が
その対象になるわけではありません。

私が勤務していた県警には、
離島の駐在所がありました。
そこへ、
結婚したばかりの上司が
異動になったことがあります。

奥さんは本土で仕事をしており、
簡単に退職できる立場ではありませんでした。
駐在所で一緒に暮らすこともできず、
会うことすらままならない生活が続きました。

さらに、二人には
幼い子どももいました。

結果として、
仕事と子育ての負担は
ほぼすべて奥さん一人にのしかかり、
夫は休日に帰ってきて
生活費を渡すだけの生活になります。

この夫婦は、
最終的に離婚しています。

この話を聞いて、
「警察官と結婚する覚悟の問題だ」
と考える人もいるかもしれません。
実際、警察内部でも
そう言われることはあります。

ただ、私はそうは思いません。

子育てや家庭生活は、
本来、二人で協力して成り立つものです。
その前提を制度的に崩してしまう異動は、
どれだけ覚悟があっても、
簡単に受け入れられるものではありません。

この例は極端かもしれませんが、
単身赴任が原因で
夫婦関係に亀裂が入るケースは、
警察組織では決して珍しくないのが現実です。

警察官の家庭事情については、別の記事でも触れています。

やりたい仕事を選べない警察組織の現実

警察官を目指す人は、
それぞれに理想や目標を持っています。

刑事として被疑者を逮捕したい。
DVやストーカー被害者を守りたい。
交通違反を取り締まり、
事故を減らしたい。

採用試験に合格した後、
希望する課に入るため、
多くの人が努力を重ねます。

しかし、警察組織は、
努力すれば必ず希望が叶う世界ではありません。

警察人生の中で、
一度も希望する課に入れないまま
定年を迎える人もいます。

与えられたポストで
前向きに働き続ける人もいますが、
それが理由で警察を辞めてしまう人が
いるのも事実です。

私の後輩に、
象徴的なケースがありました。

彼女は女性警察官で、
刑事になることを目標に
警察官になりました。

交番勤務の間、
春の異動で刑事課に入るため、
非番や休日にも刑事課へ顔を出し、
手伝いを続けていました。

他の上司からは
「一番に指名したい」
と言われるほど、
評価もされていました。

しかし、異動発表の日。
刑事課の名簿に、
彼女の名前はありませんでした。

代わりに、
そこまで手伝いに来ていなかった
別の警察官の名前が載っていました。

理由は、本人にも分かりません。
ただ、最終的な判断は
課長の裁量に委ねられており、
評価基準は決して明確ではありませんでした。

その後、彼女は
刑事課への手伝いをやめ、
仕事への熱意も
徐々に失っていきました。

現在も、
交番勤務のままです。

このように警察組織では、
上司との相性や配置の裁量によって、
やりたい仕事が一生できない可能性もある
という現実があります。

なぜ警察官は、気づいたときには限界を超えているのか

ここまで、
警察組織における外部要因・内部要因によるストレスについて、
私自身の経験をもとに説明してきました。

正直に言うと、
私は警察以外の仕事もいくつか経験しています。
その中には、
業務量が多い仕事や、
理不尽なクレームに日常的に対応する仕事もありました。

だからこそ、
外部的要因によるストレスだけであれば、
警察官の仕事を
続けられた可能性はあったと思っています。

問題は、そこに
内部要因によるストレスが重なったことでした。

パワハラ気質の上司に当たるかどうか。
数年ごとに繰り返される異動。
やりたい仕事を選べない配置の問題。

これらは、
警察組織に属している以上、
基本的に避けることができません。
定年まで続く可能性のある要素です。

私のように、
自由度を重視するタイプの人間にとっては、
こうした内部構造そのものが
常に大きなストレスになり続けます。

結果として、
外部的要因のストレスだけなら耐えられたとしても、
内部要因との相乗効果によって、
静かに限界を迎えてしまう。

これが、
私が警察を辞めるに至った理由です

▶︎警察官という仕事が自分に合っているかどうかについては、こちらの記事も参考になると思います。

これから警察官を目指す人へ・悩んでいる人へ

私は、
希望を抱いて警察官になりました。
そして、7年間勤めた末に、
依願退職という選択をしました。

その理由の一つが、
ここまでお話ししてきた
ストレスの問題です。

正直なところ、
こうした負の側面は、
採用担当者が積極的に話す内容ではありません。
また、人によっては
まったくストレスに感じない場合もあります。

だからこそ、
これから警察官を目指す方には、
今回お話しした現実を理解したうえで、
それでも警察官になりたいと思えるかを、
一度考えてみてほしいと思います。

それでも
「やりたい」と思えるのであれば、
ぜひ挑戦してください。

そして、
すでに警察組織の中で働いていて、
かつての私のように
強いストレスを抱えている方へ。

もし、他にやりたいことがあったり、
このまま定年まで働いたら
死ぬときに後悔すると確信しているなら、
別の道を探すことも、
一つの選択肢だと私は思います。

確かに、
警察官は安定していますし、
社会的な信頼も厚い仕事です。

ただ、本来仕事は、
生活のためにするものであって、
毎日襲ってくるストレスに
耐えるためにあるものではありません。

私は警察を辞めました。
今も楽なことばかりではありませんが、
警察官時代と比べると、
はるかに健康的な精神状態で
働けています。

経済的な安定も大切です。
ただ、人の寿命は
長くても100年ほどです。

一度きりの人生、
どうか後悔のない選択をしてください。

警察を辞めた後の話は、noteにまとめています。

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この記事を書いた人

元警察官。警察組織の内情や、
理不尽な労働環境で消耗しないための考え方を発信しています。

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