警察は何でも屋じゃありません【どんなにしょうもない事でも通報があったら行かなければなりません】

皆さんが想像する110番通報というと、

・交通事故
・犯罪被害
・行方不明
・喧嘩

といった内容を思い浮かべる方が多いと思います。

実際、これらの通報が多くを占めており、
特に物損事故は日常的に発生しています。

ただ一方で、
警察が本来対応する業務範囲について、
誤解されているケースがあるのも事実です。

警察官として現場に出ていると、
「本当に警察が対応すべき内容なのか」
と考えてしまう通報に出動することもあります。

そこで今回は、
私が実際に対応してきた通報の中から、
警察官が“何でも屋”だと思われてしまう理由が
分かりやすい事例を紹介します。

目次

実際にあった110番通報集4選

意味不明な通報は警察続けていれば腐るほど経験します。

その中で記憶にあるしょうもない通報をご紹介します。

足が痛くてベッドから降りられない

「足が痛くてベッドから降りられない」という内容の
110番通報を受けたことがあります。

この無線を聞いた瞬間、正直なところ
「本当に警察が行くべき案件なのか?」
と感じたのを覚えています。

それでも、人が困っている以上、
警察官として対応しないわけにはいきません。

当時の相勤者とともに通報場所へ向かい、
インターホンを押しましたが応答はありませんでした。

玄関のドアは施錠されておらず、
「入りますよ」と声をかけて室内に入りました。

寝室には高齢の男性が横になっており、
「足が痛くて起き上がれないので通報しました」
と説明を受けました。

状況を確認した上で、
私は自分の肩を貸し、立ち上がる手助けをしました。

結果として、
この通報に対する対応はそれで終了です。

警察官として必要な対応は行いましたが、
本来は警察が専門で対応する内容ではありません。

車が盗まれた

次に紹介するのは、
「車が盗まれました」という110番通報です。

もし事実であれば、自動車盗という重大な犯罪です。
私もそのつもりで、緊張感を持って現場へ向かいました。

現場に到着すると、通報者はかなり酔っている様子でした。
事情を聞くと、
「ここに停めたはずなのに、車がありません」
との説明でした。

確かに、その場所には車は見当たりません。
ただ、通報者の様子から、
別の場所に駐車して忘れている可能性も考えられました。

被害届を受理する際にも必要になるため、
車種や色、ナンバーを確認し、
その情報をもとに周囲を見て回りました。

すると、通報場所の道路を挟んだ向かい側にある
居酒屋の駐車場に、該当する車両が普通に停まっていました。

「この車ではありませんか?」
と確認すると、
「あ、これです。これです」
との返答でした。

結果として、事件性はありませんでした。

警察官として必要な確認と対応は行いましたが、
この通報も、緊急性や犯罪性はありませんでした。

なお、飲酒していたため、
その後は代行を利用して帰宅してもらいました。

私の部屋から物音がする

三つ目の通報は、
「自分の部屋から物音がして怖い」という内容でした。

不審者が侵入している可能性もあるため、
私と相勤者は臨場要請を受け、通報場所へ向かいました。

現場に到着し、通報者(20代後半の女性)から話を聞くと、
「あの部屋から物音がするんです」
と説明を受けました。

通報者自身は怖くてドアを開けていないとのことでした。

室内に人の気配はありませんでしたが、
確かに、かすかな物音は聞こえます。

念のため室内を確認したところ、
ベッドの下で動いていたのは——
小さなネズミでした。

結果として、
事件性はありませんでした。

警察官として必要な確認は行いましたが、
この通報も、警察が専門的に対応する事案ではありません。

その後、ネズミは室外へ逃がし、対応は終了しました。

信号無視をした車がいる

次は、
「信号無視をした車がいる」という110番通報です。

警察官を辞めた今だから言えることですが、
この手の通報は、現場としては対応に困るケースが多いのが実情です。

理由は単純で、
交通違反は、原則として警察官の現認がなければ取締りができない
からです。

たとえ通報を受けて現場に向かい、
特徴が一致する車両を発見したとしても、
違反の瞬間を警察官が確認していなければ、
切符を切ることはできません。

また、
「この車が信号無視をした」と
客観的に立証できる証拠がなければ、
指導すら行えない場合もあります。

ただし例外もあります。
信号無視の結果として事故が発生している場合や、
そのまま放置すれば重大な危険が生じる状況であれば、
110番通報が必要になるケースもあります。

つまり、
緊急性や危険性がない場合、通報しても対応できないことが多い
というのが現実です。

まとめ

今回は、
私が警察官として在職中に対応してきた通報の中から、
警察が「何でも屋」だと誤解されやすい事例を紹介しました。

110番通報は、
本来、緊急性や危険性が高い事案に対して行われるものです。

もちろん、
通報者自身にとっては切実な事情があり、
不安や恐怖から警察に頼ってしまう気持ちは理解できます。

一方で、
警察官には法律や制度上の制約があり、
すべての通報に対して
専門的な対応ができるわけではありません。

緊急性の低い事案に人手を取られている間に、
本当に対応が必要な事件や事故が発生すれば、
結果として誰かの命や財産を守れない可能性もあります。

だからこそ、
110番通報をする前に、
「今この状況は、本当に警察が対応すべき内容なのか」
を一度だけ考えてもらえると、
現場の負担は大きく変わります。

警察官は何でも屋ではありません。
限られた人員と時間の中で、
本来守るべきものを守るために動いています。

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この記事を書いた人

元警察官。警察組織の内情や、
理不尽な労働環境で消耗しないための考え方を発信しています。

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